ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

いきなり出だしで心掴まれる「サン=サーンス/ピアノ協奏曲第1番」

★★サン=サーンス/ピアノ協奏曲第1番★★

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カミーユ・サン=サーンス

そのお顔は、私が子供の頃であっても

ベートーヴェンとか、モーツァルトとか超有名な作曲家以外であっても

すでに分かっていた。

「これは誰でしょう?」

と顔写真がクイズに出てもすぐ答えられたはず。

 

昔の1000円札は伊藤博文だった。

それとそっくりだった。

すり替わっていたとしてもわからなかった、

かもしれない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%A6%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B9#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Saintsaens.jpg

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E5%8D%9A%E6%96%87#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:IT%C5%8C_Hirobumi.jpg

もちろん、クラシック音楽界では重要な作曲家。

でも

よく知られた作品は、そう多くはない。

交響曲第3番「オルガン付き」

また、チェロの名旋律で単品でも演奏される「白鳥」

元は組曲「動物たちの謝肉祭」の中の1曲。

あたりは幅広く知られているものだろう。

 

サン=サーンスは、結構好きな作曲家のひとり。

室内楽を含めて聴き漁ったことがあり、隠れた名曲発掘には最適な作曲家だ。

フランスの作曲家だがフランスっぽくない。

彼が活躍していた19世紀後半から20世紀は、ドビュッシーラヴェルなど

「ああ、フランスっぽいな、この曲」という時代であった。

ドイツ風なものは時代遅れになっていたようだ。

 

サン=サーンスの曲の華やかさを感じるのは管弦楽を伴ったものが

やはり顕著だろう。

もちろん協奏曲も含まれる。

 

ピアノ協奏曲は全部で5曲あるが

とりあえず、第1番を聴いていただきたい。

24歳の若さ溢れる作品。

 

まず、出だしでぐっと心捕まれるのだ。

勇壮なホルンの出だしに。

森の中で狩人たちがお互い呼びかけているような。

これだけでワクワクする、なかなか革新的な始まり。

コンサートだとピアニストよりホルン奏者が相当なプレッシャーを感じるはず。

きっと。

ここでズッコケると、印象が変わる気がする。

でも、ホルンって管楽器の中でも、とても難しい楽器なので

そこは考慮しなければ。

 

弦のトレモロからすぐにピアノが覆いかぶさり呼応する。

全体的に勇壮な音楽が続き、なかなか気持ちが良い。

 

第2楽章は一転

メランコリックで重たーい雰囲気に変わってしまう。

 

あんなに、自身が漲って、そしてワクワクしたのに

いったい何があったの?

 

ピアノのカデンツァは結構充実した長さを持つが

なにかエキゾチックな雰囲気を醸し出させているのが、かなりグッとくるポイント。

「エジプト風」というのがピアノ協奏曲第5番にあるが

こういう異国情緒を醸し出すのが好きなのだろうか。

作曲者はあちこち旅に出たということもあるらしい。

 

第3楽章は、これまでの鬱憤を晴らすように

飛び跳ねるような明るい雰囲気に変わる。

ピアノとオーケストラがお互い呼び掛けているような感じ。

ピアノもかなり難しそうなパッセージが現れて

最後は大いに盛り上がって終わる。

 

なんとも聴き終わった後、聴きごたえあったなぁ

と感じる音楽である。

 

【ワクワク!CD】

サン=サーンス/ピアノ協奏曲第1番 ニ長調 op.17

(ピアノ協奏曲全集より)

指揮:アンドレ・プレヴィン

ピアノ:ジャン・フィリップ・コラール

演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1987年9月 アビーロード・スタジオ ロンドン