ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

2人だけで演奏される マーラー/交響曲第6番「悲劇的」(ピアノ連弾版)

100人を超える大オーケストラ編成で演奏されるマーラー交響曲

圧倒される音圧を浴びるのが、その魅力の一つだが

今日は「たった2人だけ」で演奏されるバージョンを聴く。

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 交響曲第6番 イ短調「悲劇的」(ツェムリンスキー編曲によるピアノ連弾版)

演奏:シルヴィア・ツェンカー&エヴェリンデ・トレンクナー

録音:1991年4月9、10日

 

マーラーとも親交があるツェムリンスキーが編曲したもので

この交響曲が初演された年に作られ、マーラーの家で

ツェムリンスキーとマーラーが連弾したらしい。

 

さまざまな作品の編曲版には

本来の作曲者が知らないで編曲されたものもあるが

これはマーラー自身が認識しているものということになる。

 

この時、シェーンベルクもいたようで

悩ましい第2楽章、第3楽章の順番や、ハンマーの回数など

優れた、この時代の先端を行く作曲家同志が

あれこれ意見を戦わせたのだろう。

 

ツェムリンスキーは、マーラーの奥さんになるアルマ・シントラーに

作曲を教えていた。

師匠と弟子はいつしか恋に落ちるのだが、続かなかったようで

その後アルマはマーラーと結婚することになる。

 

アルマは結婚後も、いろいろな色恋沙汰によりマーラーを苦しめるのだが。

 

さて、音楽が始まると

まずは物足らなさを感じてしまう。

 

あの分厚く思い行進が、なにか軽やかにも感じされてしまう。

音色も、もちろん単一である。

 

さすがにオーケストラとは互角にとはいかないのは承知である。

 

が、いつの間にか慣れてしまっていた。

 

というのは、

オーケストラ版を繰り返し繰り返し聴いていた耳は、ピアノの単一の音色に

各楽器の音色が覆いかぶせて、補完するように聴くようになっていたからである。

 

このメロディはオーボエ、ここはホルンなど、ピアノの旋律を軸に

様々な音色が聴こえてくる。

 

そして、あらたな発見は

オーケストラではいろいろな楽器が重なって鳴り響いているが

ピアノ連弾では単一の音色、旋律によって

構造がすっきり透かして見えるようで

いままで気にならなかったものが良く聴こえてくる間隔が非常に面白い。

 

これが逆であれば、どうなるのだろう。

ピアノ連弾版を聴いた後、オーケストラ版を聴いてみると

どのように聴こえるのか?

 

もちろん、オーケストラ版は一度も聞いたことがない作品でなくては

比較できないと思うが。

 

そのような体験も今度、曲を探して試してみたい。

 

さて

例のハンマーの部分は、この演奏ではどうなるか?

 

鍵盤を思いっきり叩きつけるのか?

それともピアノの側面でも叩くのか?

 

さすがにそれは無かった。

 

※このCDには交響曲第7番の連弾版も入っている。

これもオケ版との聴き比べをするのが楽しみだ。