ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

スペインらしくない アルベニス/ピアノ協奏曲第1番

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アルベニス/ピアノ協奏曲第1番 イ短調 op.78「幻想的協奏曲」

ピアノ:メラーニ・メストレ

指揮:マーティン・ブラビンス

演奏:BBCスコティッシュ交響楽団

録音:2012年1月6~7日 グラスゴー

 

「ロマンティック・ピアノ・コンチェルトシリーズ」

というCDのシリーズものがあるのだが、これは

滅多に演奏されず、そしてまだCDにもなっていないような作品を

発掘してCDにしている。

 

かといって、それらは理解できないような駄作というわけではなく

なかなかいいけど、なぜ有名にならないのだろうか?

というものばかり。

「ロマンティック」というだけあって、素敵なメロディも奏でられる。

ただ、やはり

もうちょっとインパクトが欲しいとか、心にグッとくるものが欲しかったとか

聴き終わるとそういう感覚も残るので、なかなか表舞台に出てこない、のかもしれない。

聴き続けていると、もっとよさは発掘できるようになるかもしれない。

 

シリーズは、これを書いている時点ではすでにNo.81まで、相当な数がリリースされている。

有名作曲家の作品もあるが、聴いたことがない名前の作曲家も沢山あって、あらたに発見しようという私にとってはとても気になるシリーズだ。

 

今回は、その中からアルベニスを聴いた。

スペインの作曲家。

スペインの音楽と言えばフラメンコを思いつくが、スペイン音楽は独特の雰囲気が漂う。

 

アルベニスは、もちろんスペイン音楽をたくさん作っているが

このピアノ協奏曲の特徴は

「スペインらしさが全くと言ってもいいほど感じられない」

ことである。

 

固定観念は恐ろしい。

聴き始めは「スペインの雰囲気があふれ出てくるだろう」と期待していたが

それが、突如はぐらかされると相当な驚きになる。

 

なんと言ったらいいのか

ドイツロマン派

シューマンショパン

いや、ラフマニノフのような雰囲気もあるかもしれない。

 

スペイン音楽は情熱的な要素、そして、ちょっとした陰りがあるが

この曲は「まったりとした甘さ」を感じる。

そして、とても叙情的である。

 

これがあまり演奏されない理由のは

こんなどっちつかず、のような存在ということもあるかもしれないのだが

楽譜自体が発見されたのが比較的新しいということも理由であろう(1967年)。

それ以降、録音されたものがあるのだが、表舞台には出て来ず仕舞い。

 

アルベニスオーケストレーションが得意ではなかったらしく、友人にそれを依頼したり、いろいろ修正したり紆余曲折の過程があるようだ。

 

 

不明なことも多いものは、いろいろ想像しながら聴いてみるのも面白い。