ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

ピアノ演奏にふさわしい作品、とも思える ショスタコーヴィチ/交響曲第5番(ピアノ連弾版)

前回に続き、交響曲のピアノ連弾版を聴いてみる。

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ショスタコーヴィチ交響曲第5番 ニ短調 op.47

演奏:グラウ・シューマッハー ピアノ・デュオ

録音:2005年11月21~25日

 

ショスタコーヴィチは自作の交響曲作品初演前に

ピアノ連弾版で弾き、作品を確認したという。

 

この曲も大編成オーケストラによる分厚い、迫力ある音楽が魅力。

 

意外にも、この2台のピアノ版を聴くと

物足らない、と思うより

ピアノで演奏されるのにぴったりではないか。

という印象であった。

 

第1楽章ではオーケストラ版でもピアノが用いられて

その低音で鳴らされる響きは、管弦楽楽器とは異なる

不気味な雰囲気を醸し出すのに効果を上げているが

もちろんこの部分もそのまま。

 

尖ったテンポと旋律が激しく上下に変化する

第2楽章 アレグレットは、一番ピアノに合っていて

とても面白い。

 

ちょっと変わった三拍子のリズム

特に高音でのピアノの打鍵は、オーケストラにあるシロフォン

そのまま表現されているかのよう。

 

第3楽章はラルゴでテンポが遅いが

ピアノだと音をいかに伸ばすか、というところが課題となるようなので

テンポは早めになっている。

 

そして

第4楽章。

最終部分は、あの、連続で、252回も鳴らされる「ラ」の音。

ここには体制批判を盛り込んだと言われるが

より鋭く、悲痛に、激しい打鍵で表現されるのが

オーケストラ版より胸に突き刺さるようだ。

 

作曲者による、いろいろなメッセージが秘められたこの作品。 

構造がすっきりする分、怖さも余計に感じるような演奏を体験できた。

もう少し聴きこむと、もっとこの作品のことがわかってくるに違いない。

 

ショスタコーヴィチはピアノの名手で

第1回のショパンコンクールに出場した腕前を持つ。

 

作曲はもちろんピアノを使って作曲するわけだが

作品はピアノ的な響きを根底にしてされているのかもしれない。