ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

ライト・クラシックの王様の協奏曲 ルロイ・アンダーソン/ピアノ協奏曲

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アメリカン・ピアノ・クラシックス

指揮:エリック・カンゼル

演奏:シンシナティ・ポップス・オーケストラ

ピアノ:ステュワート・グッドイヤー 他

 

ルロイ・アンダーソン

名前は知らずとも、彼の作品を聴いたことがあるという方はたくさんいるはず。

例えば 

 


アンダーソン: タイプライター[ナクソス・クラシック・キュレーション #コミカル]

 

クラシック、とは言っても「ライト・クラシック」

「軽い」クラシック

短くて、聴きやすくて、親しみあって。

彼はその王様と言ってもいいかもしれない。

 

私は小学校の音楽鑑賞時間に彼の作品を聴いて

「これ、ラジオで流れていた曲だ」

とわかったことがある。

どの作品だったかはっきりしないが、おそらく彼の中でも特に有名な

「シンコペイテッド・クロック」

ではないかと思う。

その他「ワルツィング・キャット」「タイプライター」などがあったはずだが

一番のお気に入りになったのは

「トランペット吹きの休日」

 

3本のトランペットが、次々折り重なりながら聴かせどころ満載のソロを吹く。

ほぼ休みなし。

なぜタイトルは「休日」なのか、不思議なほど。

トランペット吹けたら、絶対吹いてみたい、と思うほど惚れ惚れする。

 

運動会のBGMでよくかかっていて、足が遅くて嫌いだった徒競走の時

自分の順番で運よくこの曲がかかり、2着になってしまったことがある。

あのスピード感あふれる音楽に乗って。

音楽のパワーを感じた時でもあった。

たまたま、組み合わせがよかっただけかもしれないが。


Bugler's Holiday

これはすごい数のトランペットの演奏だ。 

もっと早く走れる、かも。

 

ルロイ・アンダーソンは、ハーバード大学で音楽を学んだが、

その後同じハーバードの言語学の研究員となった。

でも、音楽的才能を、のち、彼の作品を多く演奏し、録音した指揮者

アーサー・フィードラーに認められ、音楽家の道へ。

そして今も愛される多くの作品を残した。

 

彼が作曲したのはライト・クラシックの作品ばかりと思っていたのだが

ピアノ協奏曲も作っていたことを知った。

このディスクは作品が初めて録音されたもの。

それまでこの作品が表に出ていなかったのは、彼自身が作品リストから外していたかららしい。

 

3楽章あり、彼としては大規模なもの

勇壮な出だしからグッと心を捕まれる。

やっぱりアメリカの雰囲気をプンプン発散させる音楽は

ガーシュウィンに似た感じもする。

 

第2楽章はちょっとセンチメンタル。

アンダーソンの曲は、こういった「陰り」が忍ばせてあるのも魅力のひとつ。

突如、明るいラテン的なノリが出てくるのも楽しい。

 

第3楽章はアンダーソンらしさが一番わかる曲。

小気味良いリズムに覆いかぶさる、弦の大きくスムーズなメロディ。

マーチもあって。

 

とにかく楽しく聴けるルロイ・アンダーソンの大作。

生演奏で聴ける機会が欲しい一曲だ。