ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

劇的らしいが、有名になれない曲 ルビンシテイン/交響曲第4番「劇的」

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ルビンシテイン/交響曲第4番 「劇的」

指揮:ロベルト・スタンコフスキー

演奏:スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1990年3月 スロヴァキア・コシツェ 芸術の家

 

迫力があって激しくて、ドラマティックな曲が好きである。

クラシック音楽にも、ドラマティックな曲はたくさん存在していて

だから飽きずに聴き続けることができるのであるが

そんな中

わざわざ「劇的」(ドラマティック)と名がついている作品がある。

ということは、

これは名前を付けるくらい、他より「劇的」な音楽なんですよ

という自信があるからなのだろう。

 

ベルリオーズ

劇的交響曲ロミオとジュリエット

劇的物語「ファウストのごう罰」

という「劇的」をつけた2作品があるが、

音楽にのって劇の様に物語が進行する

という意味合いが強いのであろう。

声楽があり、合唱も入る。

 

だが、ルビンシテインのこの曲は声楽は伴わない。

音楽だけで「劇的」に勝負!

なのである。

 

そもそも「ルビンシテイン」

アントン・ルビンシテイン

という作曲家はあまり広く名が知れていない。

アルトゥール・ルービンシュタイン

は有名なピアニストだが、縁もゆかりもない。

ルービンシュタインはドイツ語読み。

 

ルビンシテインはロシアのピアニストとして活躍し

サンクトペテルブルク音楽院の創設にも関わった。

ドイツにも学びオペラ中心だったロシアにヨーロッパの音楽を根付かせる活動を行った。

自身もオペラはもちろん、すべてのジャンルのたくさんの作曲を行ったという。

 

でも、今では残念ながら演奏される機会はなくなっている。

 

さて、どれだけ「劇的」か?

時に爆発的な音量で鳴り響き、時に早いテンポで攻め立てられるように鳴り響くのか?

 

正直、そこまではなかった。

でも、交響曲としては結構聴きどころがある作品。

特に「劇的」なのは第2楽章。

第2楽章はドヴォルザークの新世界交響曲第4楽章の始まりのような

緊迫感ある出だしがワクワク感を醸し出す。

テンポを裏拍にずらして弦が高く鳴り響くのも斬新で

まるで心の悲痛な叫びを表しているよう。

途中、急に静かになるところある。

おそらくヴァイオリンかヴィオラのソロが、コントラバスをバックに

民族舞曲的な旋律を奏でるのがユニークである。

 

全体で1時間ほどの大きな作品。

ロシアの雰囲気はなく、シューマンメンデルスゾーンを聴いている様な感じがする。

 

ルビンシテインは交響曲を全部で6曲作っている。

第2番「大洋」はさらに長い大作のようだ。これもいつか聞いてみたい。