ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

ジャケ買いの対象は? ヴィヴァルディ/スターバト・マーテル

★★ヴィヴァルディ/スターバト・マーテル★★

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この曲との出会いはヨーロッパへ向かう飛行機の中だった。

 

長い長い機内での過ごし方といえば、普段はあまり見ない映画を

まとめて鑑賞する機会になっている。

映画が嫌いということではなく

音楽のほうに投資してしまうので映画を有料で見る機会が少ないということ。

 

機内ではクラシック音楽も聴くが、航空会社が用意しているラインナップでは

期待できない。

やはりマイナーな分野なのである。

あと、機中は「ゴー」っというエンジン音が鳴り響きつづけるので

音量変化が多いクラシック音楽

特に繊細な部分も楽しむという必要がある音楽にはふさわしくない

ということもあるかもしれない。

 

事前にスマホに音源を取り込んで、イヤフォンで聴くことにしている。

とは言っても航空会社が用意するラインナップも必ずチェックするようにしている。

 

この時、利用したのはルフトハンザ・ドイツ航空。

ここは音声だけでなく、映像でもオペラやコンサートがあったりするし

クラシック音楽もラインナップは航空会社でも多いほうだと思う。

やはりドイツという国ではクラシック音楽は重要な文化ということがわかる。

 

エミレーツ航空は4000チャンネルと恐ろしい数のコンテンツを用意しているが

乗ったことがないので、クラシック音楽がどうなのかはわからない。

 

機中、早速チェックしていたら、このジャケットが現れた。

鳥が映ったジャケット。

別に鳥マニアではないけど、なんか、引っかかったのである。

 

変わった姿勢の鳥。

それにしても凄い姿勢の時に撮影したものだ。

そしてそれをジャケットにしてしまっている。

首を下ろして水を飲み、そして首を上げる瞬間、だと思う。

 

嘴からの水の滴り。

まさにその瞬間を表す。

 

そして、そのディスクに含まれていたのが、まだ聴いたことがなくて

ぜひ聴いてみたかった

ヴィヴァルディの「スターバト・マーテル

 

もちろん、映画を見るよりも先にこのプレイボタンを押したのは

言うまでもない。

 

清らかな音楽の渦に涙が出そうになった。

ワクワクする旅が始まったばかりだというのに。

  

このディスクが録音されたのはウィーン郊外

クロースターノイブルク修道院でのコンサートの模様。

その場所はベートーヴェンが住んだことでも有名なハイリゲンシュタットの

少し北のほう。

ウィーンから日帰りで充分に行くことができる。

オーストリア最古、かつ最大のワイン醸造所はこの修道院の付属としてつくられたのが起源とか。

ワインセラーツアーもやっている。

 

私はまだ訪れたことがなく、行きたい場所のひとつになっている。

  https://www.stift-klosterneuburg.at/ja/

 ※日本語サイトもあるが、現在うまく機能していない様子。 

  「天と地が出会う処」とは!

 

このCDは「gramola(グラモラ)」というオーストリアのレーベルで

ウィーンにお店もある。

この時の目的地はウィーン。

ウィーンに行くと必ず立ちよるお店。

シュテファン寺院からも近いので観光のついででも訪れやすい。

https://www.gramola.at/

 

小さなドアを開けて小さな店内へ。

見つけました。鳥のジャケット。

 

お金を払って鳥を連れて帰り、こうしていまでは機内ではなく

自宅でも聴くことができるようになった。

 

スターバト・マーテル」=「悲しみの聖母」

磔刑となったイエスを思う母マリアの嘆き悲しみが綴られる。

ヴィヴァルディ以外にも、ロッシーニペルゴレージなど

多くの作曲家によって詩に曲が付けられた。

 

ヴィヴァルディの作品は特有の旋律運び。

そして刻まれるリズムが切々とした悲しみをより増長させるよう。

ソロは女声のアルトが担うようだが、ここでは

世界的なカウンターテノールであるアンドレアス・ショルにより歌われる。

 

時に暖かく、時に、表に出ることはない秘められたような激しさ、強さは

脳髄まで染み入るような感覚をもたらす。

 

ジャケ買い

最近ではクラシックもアーティスト自身が、アイドルの様にアップで

そしてポーズをとっているものも多くなった。

 

でも、私が引っかかってしまったのは鳥。

 

嘴のから落ちる水滴

 

悲しみの聖母が流す

「涙」

に思えて仕方がなくなっている。

 

【ワクワク!CD】

ヴィヴァルディ/スターバト・マーテル RV.621

指揮:ルーベン・ドブロフスキー

アルト:アンドレアス・ショル(カウンターテノール

演奏:バッハ・コンソート・ウィーン

録音:2017年4月6日 クロースターノイブルク修道院聖堂

コンサート風景の写真がライナーにある。小さいが素晴らしい聖堂だ。

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