ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

ワーグナーのオペラに、どう近づくか? ワーグナー/「ワルキューレ」第1幕

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ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第1幕 

指揮:ズービン・メータ

ジークリンデ(ソプラノ):エヴァ・マルトン

ジークムント(テノール):ペーター・ホフマン

フンディング(バス):マルッティ・タルヴェラ

演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック

1985年1月31日、2月5日 エイヴリー・フィッシャー・ホールでのライブ収録

 

ワーグナーのオペラを最後まで鑑賞すること。これは高い高い山に登ることに等しい。

だから制覇した後、頂上からは素晴らしい眺めが広がり、到達したものだけが感じられる満足感がある。

 

でも、そこまでの道のりは長くて辛くて。

途中、眼下に広がる景色にホッとするがまだまだ頂上は先の先。

「もう引き返そうか」と頭によぎる。何度引き返したことか。

 

序曲など管弦楽曲は単体では迫力があって、聴きごたえがあってワクワク感満載。

おまけに短い。

自分もしばらくは管弦楽曲集ばかりを聴いていたが、初めてオペラでワクワクし、最後まで聴いたのが「ワルキューレ」。

とはいっても第1幕のみが収録されたCDである。

 

約1時間もあるが、いつの間にかどっぷりと浸かってしまった。

それまで「ワルキューレ」自体、生演奏や映像は見たことがない。

有名な「ワルキューレの騎行」以外は。

 

登場人物は3人のみ。ストーリーもわかりやすい。

とはいえ、初めて逢った男女が実は兄妹。すでに人妻になっている妹の夫と兄は敵同士。でもその兄妹が恋に落ちるなんていう禁断のストーリーだが。

 

最初のあの刻む弦と徐々に盛り上がる金管。その掴みだけでワクワク感も高まり引き込まれる。

中盤はワーグナー特有の長い語りの部分。ここをクリアすれば第3場。

官能的で美しい二重唱と怒涛のフィナーレに向かって盛り上がりが最高潮になっていく。

ああ、なんというワクワクドキドキ感!突飛なストーリーでも感動してしまう。

 

実際のオペラはさらに第2幕、「ワルキューレの騎行」が演奏される第3幕

とまだまだ頂上は先なのだが、この第1幕だけでも十分だ。

演奏会ではこの第1幕だけを演奏する公演もある。

 

今回聴いたのはメータがニューヨーク・フィルを振ったライブ録音。

結構早いテンポは引き込まれていくのには最適。メリハリ利かせた演奏でストーリーをさらに盛り上げる。それだけではなく官能的な美しい響きも抜群。

 

素晴らしい歌唱を披露するテノールは、個人的にはヘルデン・テノールといえばこの人が浮かんでしまう。

ペーター・ホフマン。

元ハードロック歌手で、カールした金髪、イケメンの容姿は革パンを履いてシャウトしても確かに様になるだろう。

こんな男性が目の前に現れたら女性は物語同様、一目で恋に落ちてしまうのでは?

ソプラノのエヴァ・マルトンもワーグナーには欠かせない歌手でドラマティックな歌唱が素晴らしい。

バスのマルッティ・タルヴェラも懐が深い歌唱で2人の関係を引き立たせる。

 

これでワーグナーのオペラへの壁が低くなり、後日、メトロポリタン歌劇場の来日公演「ワルキューレ」を鑑賞した。

正直とてもとても長かった。

と思いながらも、その後、かなり時間をかけながらワーグナーの魅力に少しずつ

ハマっていくことになる。

 

ワルキューレ」の第1幕だけでも、ぜひご鑑賞を。

オペラは映像があったほうがいいので、CDではなく日本語字幕付きの映像で。