リヒャルト・シュトラウス ガラコンサート
ソプラノ:クリスティーヌ・ゲルク、アニヤ・ハルテロス、カミラ・ニュルンド
演奏:シュターツカペレ・ドレスデン
2014年6月11日 ドレスデン国立歌劇場でのライブ収録
6月11日はリヒャルト・シュトラウスの誕生日だったので、2014年の同日にドレスデンで行われた生誕150周年ガラのブルーレイを見る。
ドレスデンではリヒャルト・シュトラウス作曲の15演目のオペラのうち9演目が初演され、この公演はその初演作品からプログラムされていた。
実はこのコンサート、現地で見ることができた。
なので今回は復習も兼ねて。
ゼンパー歌劇場と呼ばれるドレスデン国立歌劇場はこの時初めて訪れたのだが
「なんとゴツく重々しい外観なのだ」
というのが第一印象。写真よりも実物は立体感が増している。
R.シュトラウスやワーグナーなどの重厚な音楽が合いそうである。
それとはまったく正反対なのは内装で、白を基調とした気品感じる雰囲気にも
すごく感激したことを覚えている。
面白かったのは各座席の背もたれのところに通風孔があって、そこから空気が出るようになっていること。
平土間席はそうだが、バルコニー席はどうだったかは確認していないが。
自分の目の前で空気の入れ替えをしてくれるのは、なかなかいいアイデアだ。
一般的なホールでは、天井や壁からの空調で大きなダクトを使うことになる。
空気の流れも大きく、急に冷たい空気が振ってくるように感じて、集中力をそがれることがある。
確かゲヴァントハウスも背もたれに通気口があったはず。
今回の公演。
ソプラノのニーナ・ステンメが急遽キャンセルになり、代役でクリスティーヌ・ゲルクが登場。よく知らない歌手だったが「エレクトラ」のモノローグを聴いて打ちのめされてしまった。
表情豊か、かつパワフルな声で客席を圧倒。代役とは思えないような歌唱でブラボーが飛び交った。
映像では1曲目が終わってから「代役を果たせて安心した」という表情を見ることができる(個人による感想ですが)。
ほかにアニヤ・ハルテロスが1曲。カミラ・ニュルンドは2曲でそれぞれの曲で衣装替えまでして登場し、華やかさが高まる。
指揮をしたティーレマンは、劇場に保管されているリヒャルト・シュトラウスが初演で使用したスコアを使用したようで、ディスクに入っているドキュメンタリーでもそのスコアを感慨深く見ている様子が出てくる。
歌劇場ではあるがコンサートのため、ステージ上にオケが並ぶ形態だが、座っていた平土間の席にすごい振動が来たことに驚いた。直接音による空気の振動だけでなく、床からも靴を通して響くことがわかり、また座席を通して体にも振動が伝わってきた。
まさにボディソニック。
他の劇場でも感じることはあったが、それまで体験したものとは比べ物にならない感じ方だったと思う。
なんとなく、とっつきにくかったリヒャルト・シュトラウスの楽曲。
代役の存在感にも圧倒され、その距離感がグッと近づいた公演だった。