ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

国際的騒動の渦中、ウインナ・ワルツで新年の雰囲気を取り戻す

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ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート2019

指揮:クリスティアンティーレマン

録音:2019年1月1日 ウィーン楽友協会

 

昨年から今年にかけての年末年始。大事件も無く静かな年越しになりそうだ、

と思ったところビッグニュースが。

カルロス・ゴーン国外逃亡」

年末年始らしからぬニュース内容に驚いた。

 

大変な出来事であるのだが、まあ文句を言っても現状なんともなりそうもないので、元旦恒例のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートへワクワクしながら気持ちを切り替えて。

ああ、そうだ、昨年の模様をCDで復習でもしましょう、と聴き始めた。

 

しかし、想定外の落とし穴が待っていた。

 

カルロス・ゴーンコントラバスのケースに隠れていたらしい」

これにクラシック音楽ファンが食いつかないはずはない。

「実際にやってみた」と、コントラバス・ケースに入る方の動画がアップされたり

「いや、タンスに隠れていたのではないか。まさに『タンスに●●』だ」とか。

(昔のCMを知っている方はピンとくるような、ナイスな内容)

 

結構こういうネタは大好きなので、いろいろ漁ってしまい、ニューイヤー・コンサートへの雰囲気が。。。。

 

それにしても今後、コントラバスを国外に持ち出す演奏家は相当厳しいチェックを受けることになるのではないか。

 

今年のニューイヤー・コンサートはアンドリス・ネルソンスが指揮をした。若いけどウィーン・フィルを指揮する常連になっていて活躍目覚ましい。

 

個人的に彼がこのような名誉ある指揮台に立っていることをすごくうれしく思った。

なぜならば、まだまだ無名だった頃、来日したウィーン・フィルを指揮する公演を聴いたことがある。実は最初からネルソンスの指揮が予定されていたのではなく、まず小澤征爾が予定されたが体調の関係で降板。サロネンが代役になったが、そのサロネンも降板。代理の代理でネルソンスが抜擢という事態に(他にウェルザー=メスト、プレートルが登場)。

 

私が聴いた川崎公演は、天下のウィーン・フィルにもかかわらず、払い戻しが多く発生。客席が7割ほどしか埋まっていないという信じられない状態で、なんだか凄く悲しい思いをしたのである。

演奏自体は、まだウィーン・フィルをコントロールするという感じではなかったが、すごくいい演奏を引き出して、将来が楽しみな若手指揮者が現れた、と感じたのである。

 

公演に先立って、渋谷のタワーレコードトークショーとサイン会があったが、人数もそんなにいなかったので、サインもゆっくりと、そして若干会話しながら頂けたのは、いい思い出である。

このサイン会に先駆けて、彼は買い物かご(スーパーにあるのと同じサイズ)2つにCDをてんこ盛りして爆買いをしていたのを見逃さなかった。

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さて、今年のニューイヤー・コンサート。中継を録画してじっくりと鑑賞。

ネルソンスはビロードのような上着を着て登場。昔会ったときとは違う、でっぷりした体格に。なんか可愛らしい。

すでに2回(12月30日と31日)、同様のプログラムで演奏しているのだが、さすがにテレビ中継も入るし緊張した様子を感じた。でもその中にもすごく楽しそうな雰囲気が伝わってきた。

選曲はベートーヴェン・イヤーにちなんでベートーヴェンの作品が初登場。最後の最後に演奏されるラデツキー行進曲が新編曲になったという発表があったが、正直大きな違いはわからずだった。ナチス党員であった編曲者の版を刷新するということらしいが、今回で何らかの区切りをつけるということだろう。

中継では客席の様子も映し出されるが、前夜、国立歌劇場恒例の喜歌劇「こうもり」にサプライズ登場したスーパーテノールヨナス・カウフマンやピアニストのルドルフ・ブッフビンダーの姿も。あと驚いたのは、スマホ撮影者が多いこと。ずーっと出しっぱなしなので写真ではなくおそらく動画であろう。もちろん事前に撮影できないことはアナウンスされるのではあるが。日本ならすぐ係員が飛んでくるが、そんな様子もない。

昨年、楽友協会に行ったら、その前に透明のNHKスタジオが作られていて驚いたが、今年のテレビ映像もそこから中継されていた。個人的にはすごく違和感を感じる。世界90か国以上に中継されるコンサートで、こんな特別なことをしているのは日本だけである。

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2019年の仮設スタジオ

来年はリッカルド・ムーティが登場。抽選制のチケットのノミネートが2月1日から開始。昨年申し込み終了あたりに確認したら70万件ほどの申し込みがある旨表示されていた。宝くじに当たるようなもの。

お申し込みはこちら

 https://www.wienerphilharmoniker.at/jp/new-years-concert/ticket-information

 

 

※魅せる要素がかなり強いニューイヤー・コンサートだが、久しぶりに「聴かせる」演奏をしてくれた2019年のティーレマン。CDの音だけでも楽しめる。幸い会場の立ち見席で聴くことができたが、立ち席は満員電車並みの混雑で舞台は見えない。デッドな音を聴くという感じであるが、まぎれもないウィーン・フィルの生音には感激する。