ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

すべてが偶然の出会いで出来ている マーラー/交響曲第1番「巨人」

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マーラー交響曲第1番「巨人」

指揮:キリル・コンドラシン

演奏:北ドイツ放送交響楽団

録音:1981年3月7日 

 

「おおっ!こんなところで会うなんて。偶然だねぇ」

街を歩いていると、こういうこと、たまにある。

 

「偶然の出会い」

 

思いがけず、示し合わせたわけでなく

なんでお互いこの時間に、この場所にいるんだ?

赤信号に引っかかって、数分遅れてここを歩いていたら会わなかったかもしれない。

わけで

なんともまあ、不思議なもの。

 

クラスが一緒だったとか、会社が一緒だったとか

こういう出会いも偶然なこと。

その学校に受かったから、会社に受かったからとかいう偶然によるもの

「努力の賜物」

でもあるけど「偶然」ということもある。

「偶然」というより「縁」でしょうか。

さらに突き詰めれば、

この時代に生まれてきたから・・・

ご先祖様が・・・

宇宙が・・・

 

考えれば夜も眠れなくなってしまうわけで。

すべてが「偶然」「縁」で成り立っている。

 

「出会い」は人だけでなく、物についてもあって

ふっと立ち寄ったお店で「これいいなあ」と気になってしまったものに出会うとか。

 

私はクラシックCDもその類で、いろいろ買いますが、中古店にはよく足を運ぶ。

クラシックCDは種類は多いものの、そんなに多く流通する商品ではないから結構早く廃盤になってしまう。カラヤンとか売れる商品は一度廃盤になっても、また再び新譜扱いで世に出てくるので、求めるチャンスがある。

 

でも、結構再び日の目をみることがないディスクが圧倒的に多いのではないだろうか。

そうすると中古に頼らざるを得なくなる。

でも膨大な種類。そしてアイドルの様にたくさん買われるわけではないから、1種類当たりの流通量はとにかく少ない。

 

今のネットの時代。中古店の在庫チェックやオークションなど、家にいながらチェックできる可能性がある。

 

でも、何よりも代えがたいのは、わざわざ足を運んだ店で探し続けていたものに出会う「偶然」

これは本当に心ときめく思い。

「おおっ!」と思わず声を上げてしまう。

そしてそのディスクに対する思い入れが違う。

 

お店にはそのように探し求めている人が集うわけで、もしかしたら先に売れてしまっている可能性もある。

いくつも店舗を回っても、足が棒の様に疲れて、結局1枚も買わずに帰ってくることも多くあるわけで。

 

このディスクは、そのような偶然で出会ったもの。

 

指揮はコンドラシン

この録音があった演奏会の後、帰った宿泊ホテルで急死してしまう。

まさに彼の最後の最後の演奏の記録、なのである。

 

しかもコンドラシン。本来指揮するはずのテンシュテットの代役として指揮台に立っている。

そして音声が残った理由としては、演奏会のオーケストラがラジオ局に付属する楽団の為、演奏会の模様がラジオで放送された。他のオーケストラであれば放送される機会はほぼなかったであろう。

もちろんレコード化するための演奏会でもなかった。

だからこのCD、正規で出たものではない。

その放送を録音したものをマニア向けに流通させたものである。

そんな何かの意思が働かなければ表には出てこなかった。

 

偶然が積み重なったもの。

後日、正規のCDが世の中に出ることになったが。

 

そんな「曰くつきのディスクがある」

と何かの本で読んだか、記憶があって、中古店へ行くと気にはなっていた。

でも、正規版ではないので可能性はほぼ無いだろう。

 

探し回って10年かかりました

というわけではなく、2年ほどで目の前に。

偶然にも「今日、行っても見ようかな」

と思って行った店で出会った。

出会ったとき「おおっ」と叫んだ、かもしれない

 

そんないろんな偶然が積み重なって今日、聴いているディズク。

今日は3月7日。

コンドラシンは、昨日が誕生日。

そして1981年の今日、この演奏会の指揮台に立った。

そして。。。

 

 

「最後の演奏家」という情報を度外視しても、ライブならではの熱い演奏が繰り広げられる。急な代役の為、ほぼリハーサルなしだったといわれる。  

 

コンドラシンは日本にもたびたびやってきてNHK交響楽団の指揮台にも立っている。

その雄姿、亡くなる前年1980年1月16日のラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番を。


Rachmaninov Piano Concerto No.3 - Kirill Kondrashin