本家を知るには時間も必要になることがある ロドリーゴ/アランフェス協奏曲
ロドリーゴ/アランフェス協奏曲
ギター:アリリオ・ディアス
指揮:リッカルド・ムーティ
録音:1974年11月2日 フィレンツェ・テアトロ・コムナーレ
哀愁あふれる第2楽章の名高い旋律。
最初、この旋律を知ったのは、本家「アランフェス協奏曲」ではなく
チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァーの「スペイン」。
冒頭にあの旋律が登場。その後、非常に熱狂的なスペイン風の、そして複雑なリズム、コード進行を持つ曲に変化する。
あくまでも冒頭だけで、あとは別の曲になる。
フルートとエレクトロニック・ピアノ、アコースティック・ベースにパーカッションというシンプルな編成。
FMラジオから流れてきたこの曲。
これが若かりし頃の心をグッと捉えた。
触れたことがない音楽。
カッコいい!
中学生のころに、FMを聴きはじめて、次々と登場する、歌謡曲とは違う、海外のポピュラーやジャズに胸をときめかせたものだ。
まだクラシックではなかった。
FMのエアチェック雑誌が本屋で売っていた。後日その雑誌のおかげでクラシックの恩恵も受けることになるのだ。演奏時間やレコードの品番まで細かく記載されていた。
何種類かあって、私は断然「FMfan」派であった。
なんか大人っぽいつくり。
まわりの友人は「レコパル」が多かったような気がする。
首っ引きで先々の放送予定をチェック。そしてマーカーで線を引く。
今流れている「知らないけど、これ、いいなぁ」というものは、即番組表をチェック。
今後登場する時に録音する。
とにかくレコードを買うお金はないから、カセットテープを買って、無料のFMから録音する。そしてそれを繰り返し聞く。という行程。こういう努力があるとその後もとても印象に残ったままになる。
社会人になって収入がある立場になると、この点、弱くなったことを痛感する。
そういえば、後にレコードレンタルが登場し、放送を待つ受動的立場から、自身で能動的にとりに行けるようになった変化も大きかった。
「アランフェス協奏曲」は名曲だけに、チック・コリアの他にもマイルス・デイヴィスなど多くのアーティストが取り上げている。
別のお気に入りは、ミシェル・カミロ(ピアノ)とトマティート(ギター)の「スペイン」。
ああ、これはチック・コリアの「スペイン」のカヴァーであった。
いずれにしても、忘れてはいけないのは「アランフェス協奏曲」。協奏曲形式の3楽章制である。
第2楽章以外の楽章も含めて「アランフェス協奏曲」なのである。
全てを通して聞いたのは、出会ってから相当な時間、経過してからである。
※珍しい若かりしムーティが指揮するアランフェス協奏曲。演奏はちょっと粗いけど、ライブならではの臨場感が魅力的。