ワクワク! クラシック音楽の泉

堅苦しいけど奥深い「クラシック音楽の世界」に新しい出会いを求めて日々活動中。名曲(迷曲)、名演(迷演)、珍曲の発見など、個人的にワクワクしたことを綴っていきたいと思います。

短調と長調の交わる至福の時間 ステンハンマル/ピアノ協奏曲第2番

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ステンハンマル/ピアノ協奏曲第2番 ニ短調 op.23

ピアノ:マルティン・ステュルフェルト

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

演奏:NHK交響楽団

2019年11月17日 NHKホール

 

ステンハンマル。

名前は聴いたことはあるが作品自体を聴くのは初めて。

NHK交響楽団の演奏会で取り上げられたが、昨年も交響曲第2番が演奏された。その模様は録画しているがまだたしか視聴で来ていない。指揮はいずれもブロムシュテット。現在最高齢の指揮者。今年もお元気で登場。

 

ステンハンマルは北欧スウェーデンの作曲家であるが、ブラームスのピアノ協奏曲をモデルにしたのだという。ニ短調ブラームスの第1番と同じであるが、やはりなんとなく雰囲気も似たように感じられる。

 

ピアノの序奏から音楽が始まるが、ベートーヴェンの4番以外では記憶がないように思う。短調の調性なのに長調の旋律が随所に出てきて繰り返される。これが何か不安定な感じがあって、後半に演奏されるブラームスの3番に通じるようなものがある。それが意図であればなかなか憎いプログラミング。短調の調性だが明るい雰囲気になったり、かと思うとまた短調になりコロコロ変わる。まあ、不自然ということ感じないのが不思議だが面白くも思う。

 

第2楽章はピアノの叙情的な長調の旋律、それに応えるようにオケが出るがこれが短調で演奏される。これが幾度となく繰り返し。不安定さを感じるのだ。

 

ブラームスをモデルにしているが、そのうちラフマニノフにも似ているなと思われ、最後はシベリウスのような管が厚く鳴り響く北欧の作曲家らしいフィナーレを迎える。

有名でなくとも、いろいろな作曲家の作品が演奏される今日この頃。奥深いクラシックをさらに底なし沼の様に引き込んでいく魅力を改めて感じた。

 

後半のブラームスにも一言。奇をてらわない最近のブロムシュテットの音楽づくりは、この年齢だから、体力気力がないから、ということではなく、これまでの経験を重ねてきて行きついた新境地だからこその音楽ではないかと思う。ただ、意外にもしっかりメリハリ利かせた演奏が多い。

なぜか終盤に思わず落涙してしまった。感極まってではなく、思わず。こんなこと初めてである。

オケがとにかくブロムシュテットと一緒に演奏することに幸せを感じているように思えるのがひしひしと伝わる、客席側においても素晴らしい至福のひと時であった。

 

終演後、お疲れのところ申し訳なかったがサインをいただく。

目はキラキラ輝いていたのが印象的。