体は大きいのに、声は小さいのです。ヴィラ=ロボス/ギターと小管弦楽のための協奏曲
ヴィラ=ロボス/ギターと小管弦楽のための協奏曲
ギター:シャロン・イズビン
指揮:ホセ・セレブリエール
録音:2004年6月28~30日
中学生のころ、ギターを弾き始めた。
クラシックギターではない。
フォークギター。
エレキギターは禁止、フォークギターなら何とかOKという、よくわからない校則がまかり通っていた。
そして、中学生がフォークの名曲の数々を
「4畳半フォーク」と呼ばれた曲も歌詞の意味もよくわからないまま
放課後、毎日のように唸っていたわけだ。
今から考えると、滑稽にも思えるが、当時は真剣だった。
クラシック音楽におけるギター音楽といってすぐ思い出されるのは「アルハンブラの思い出」と「アランフェス協奏曲」。
その他、ボッケリーニのギター五重奏曲もいいし、ヴァイオリンの名手パガニーニも活動から一線を引いた後、ギターの曲を生み出していて面白い。
ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を生で聴くことになって思ったのが
果たしてギターの音はオケに対抗できるのか?
ということ。
本体がヴァイオリンよりも大きいのに、ギター1台では大きなホールを満たすオーケストラの音量に渡り合うことはできないようだ。
だからマイクで音を増幅していた。
エレキギターが登場するのにも理由はあったわけだろう。
このCDの解説に書いてあったのだが、ヴィラ=ロボスの言葉として「フル・オーケストラと渡り合うのは無理。だからマイクで音を大きくすべき。それでも決して楽器の音をゆがめることはない」。
小管弦楽としているので編成は小さいはずではあるが生で演奏する場合、マイクで補正しても作曲家の意図には反しないということか。
演奏会ではなくセッション録音だと、もともとマイクを通して録音しているのでミキサー調整でバランスを変えることはできるわけだが。
この曲は「アランフェス協奏曲」に比べてあまり演奏される機会はないようだが、明るくも哀愁が漂うスペインの作曲家の作品とは違い、ピアソラのタンゴの様な南米的な力強さを感じる。長いカデンツァでは高度なテクニックも必要なようだ。明るく弾ける、刺激的な音楽が魅力的。女性ギタリストのシャロン・イズビンも女性らしい柔らかい音色に感じる。もう少し演奏される機会があっていいかもしれない。
それにしてもギターは様々な種類があり、現代では幅広く各ジャンルで活躍する楽器である。
再びギターを弾いてみようかな、と何度も思うのだが、何か踏み切れていないままなのである。